「アンパンマンのマーチ」は作者による戦死した弟への鎮魂歌

何の為に生まれて 何をして生きるのか」といったアンパンマンのマーチの歌詞は、アンパンマンの作者であるやなせたかし氏によるものです。
あらためてこの歌詞を読んでみると、相当に深い意味を持つことがわかってきます。

スポンサーリンク

やなせたかし氏の戦争体験

1919年に生まれた やなせたかし氏は、1941年に徴兵され、野戦重砲兵として日中戦争に出征します。
従軍中は戦闘のない地域にいたため、一度も敵に向かって銃を打つことはなかったそうです。

しかし、弟の千尋氏は、人間魚雷「回天」に乗り込む特攻隊員となり、1945年に勤務していた駆逐艦が撃沈され、戦死しています。

アンパンマンのマーチの歌詞の中に見られる弟の影

アンパンマンのマーチの歌詞を、戦死した弟を想いながら書かれたと考えると、妙に納得できる部分があります。

今を生きることで 熱いこころ燃える だから君は行くんだ 微笑んで

忘れないで夢を こぼさないで涙 だから君は飛ぶんだ どこまでも

そうだ 恐れないで みんなのために 愛と勇気だけが友だちさ

時ははやく過ぎる 光る星は消える だから君は行くんだ 微笑んで

行け! みんなの夢 守るため

やなせたかし氏は、弟の死との関連をひと言も言っていないのですが、この歌詞を読んで特攻隊員として戦死していった弟の姿を想像してみる時、その歌詞の深さは決して偶然と言えない気もします。

それにしても、子どもたちが普通に歌っている歌の歌詞が、気づくとこんなに深いものだとは、予想外でした。

アンパンマンに見るヒーロー像

やなせたかし氏は、戦中、戦後の深刻な食糧事情を体験し、「人生で一番つらいことは食べられないこと」という考えを持っていました。

それもあり、ヒーローというものは、まず空腹のものに食べ物を与えることという考えから、アンパンマンが登場していくことになります。

絵本『あんぱんぱん』のあとがきは、氏の考える正義というものが書かれています。

「子どもたちとおんなじに、ぼくもスーパーマンや仮面ものが大好きなのですが、いつもふしぎにおもうのは、大格闘しても着ているものが破れないし汚れない、だれのためにたたかっているのか、よくわからないということです。
ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そしてそのためにかならず自分も深く傷つくものです。出典: アンパンマン絵本の出発点|こんにちはアンパンマン|フレーベル館

ひょっとして「そしてそのためにかならず自分も深く傷つくものです」ということが、歌詞の中の「たとえ胸の傷が痛んでも」につながっていくのでしょうか。

スポンサーリンク