『中国4.0』は日本が中国の侵略にどう対処すべきかをアドバイスする

エドワード・ルトワック著『中国(チャイナ)4.0』は、訳者の奥山真司氏が自身のブログルトワック著『中国4.0』の制作秘話 : 地政学を英国で学んだで述べられている通り、来日したルトワック氏が奥山氏相手に温泉で口述した内容がメインとなっています。

『中国4.0』の中でルトワック氏は、2000年以降の中国の台頭を、外交政策を中心にとらえ、3つの時期に分けています。

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中国1.0 平和的台頭

2000年以降、中国は国際社会において、国際ルールを守り、平和的に台頭していく道を選択し、他国に警戒心を抱かせないままに大国への道を進んでいっています。

中国2.0 対外強硬路線

リーマン・ショック後の2009年以降、中国は国際金融危機後の世界構造の変化を見て、対外強硬路線に転じます。
南シナ海の九段線をはじめとして、露骨に野心をむき出しにする政策は、周辺各国に反中リーダーを生じさせ、反中国で諸国を団結させる結果を生んでいきます。
ルトワック氏は「大国は小国に勝てない」という論を展開して、ベトナム等の対応を解説していきます。

中国3.0 選択的攻撃

本来、中国1.0への回帰こそが正解だったわけですが、中国はその道を進まず、2014年秋以降、中国3.0へと進みます。
中国は、中国の攻撃的姿勢に対して強烈に反発した日本、ベトナム、インドに対して、その攻撃的姿勢を控え始め、フィリピンなど中国に対して強く出られなかった国に対して強硬的な対応を示します。
しかし、習近平国家主席の訪米失敗が示す通り、中国3.0も破綻したことをルトワック氏は指摘します。

中国4.0 究極の最適な戦略

ルトワック氏は、これからの中国が取るべき最適な解を二つあげます。
一つは、南シナ海の領有権の主張を撤回すること。
もう一つは、空母の建造を中止すること。

ですが、中国の国内事情からみても、絶対に実行不可能なものであることは、明らかですね。
つまり、「中国4.0は無理」と言うことになります。

中国軍が尖閣に上陸したら日本が取るべき対処法

もし中国軍が尖閣に上陸したとするならば、日本はどう対処すればいいかをルトワック氏は1章分をあてて論じています。

中国の脅威に対するためには、まず物理的装備と安全保障関連の法整備がまず必要となります。
そして、「島を占拠されても、誰にも相談せずに迅速に奪還できるメカニズムが不可欠」とルトワック氏は論じます。
「まずアメリカや国連に相談しよう」では、島は戻ってこないということです。

その上でルトワック氏が最も効果的な対処法とするのは、「封じ込め」政策です。
意図的な計画は持たないままに、ひたすら「反応する」ことに主眼を置くべきと論じます。

アメリカに支援を求めつつも、独力で島を奪還する能力を備え、特殊部隊の派遣や制空権の掌握など多元的な能力を駆使する必要があり、一方で危機が生じたら、ただちにアメリカやEUなどに中国からの貨物処理を滞らせてもらい、中国を「貿易取引禁止状態」にすることをルトワック氏は例としてあげています。
 
 
中国4.0というタイトルとはうらはらに、中国4.0は中国にとって最適解にもかかわらず実行不可能なものとされ、前半は中国3.0まで、後半は日本の対処法に焦点があたっている感じです。
各所に現れるルトワック節がなかなか刺激的で、中国がその虚勢とは全く別の一面を持っていることに気づかせてくれる本でした。

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